今回は2022年3月以降にCUBASE12を買った初心者向けの記事になります。まだMIDIキーボードを買ってない人にはもちろん、既に購入している人には是非とも買い替えをオススメします。
突然ですがこんな悩みをお持ちではないでしょうか?
買ったけど覚えることが多すぎて挫折しそう
もっと簡単だと思ってたけど意外と難しい
ソフトの使い方って覚えることが多すぎてハードルが高いと感じていることでしょう。
この高すぎるハードルを少し下げられたら音楽制作へのモチベーションがあがるかもしれないですね。
『そんな事が可能なの?』
と思った方に朗報です!パソコンとか機材に疎いなと苦手意識をもつ方でも安心な方法がちゃんとあるんです。
今回はCUBASEを買ったけど難しいと苦手意識が芽生えてるあなた向けのとっておきの機材をご紹介します。
冒頭部分はCUBASE12になったことで初心者のハードルが下がった理由についてお話していきます。そこを理解して頂ければなぜこれがオススメなのかがすんなりと入ってきやすくなるかと思います。
第一章:CUBASE12で何が変わったか?
今回はあえて難しい話は飛ばして話題を一点に絞ります。
何が初心者に向けて使いやすくなったのか?結論から言うと『MIDIコントローラーが非常に使いやすくなった』という事です。
私自身CUBASEを長年愛用していますが、正直MIDIコントローラーはいらないと感じていました。それはなぜかと言うと
- 設定が非常にめんどくさい
- キーボードのショートカットキーを覚えれば必要性を感じない
と言った点があったからです。
今までの問題点としては、CUBASE用のMIDIマッピングを使えるメーカーでも初期設定が必要になり、割と中級者でも操作に困る部分が多々ありました。
更に一部DAW専用コントローラーを謳っているものに関しては上手く連動してくれなかったり、バグで音が伸びつづけたりする?なんてものもあります。今までの私なら『それなら鍵盤さえ付いていればとりあえずOKというスタンスでした。
それが今回のCUBASE12からは、接続するだけで自動的にMIDIマッピングをしてくれるようになったため、こうしたMIDIコントローラーがようやく簡単に使えるようになりました。
それだけでも非常に嬉しい報告ですね!
第二章:CUBASE12から新たに登場!?MIDIリモートの統合
さて、それでは本題に入っていきます。これこそが今回お話したい新機能です。
それは『MIDIリモートの統合』です。
今まで行ってきたmackie HUI、MCUとかMIDIの学習機能なんていうめんどくさい工程を一切踏みません。接続すれば自動的にMIDIマッピングさせることが出来るようになったのがこのMIDIリモートの統合になります。
Mackie HUIとは?
正しくはHuman user interfaceの略。
Mackie社がdigidesign社と共同で開発した、プロツールス(音楽制作、レコーディング専用ソフト)を外部から完全にリモート制御するための機材として誕生。由来はその最初のフィジカルコントローラーの製品名であり、そのプログラムをHUIプロトコルと呼んでいる。
徐々に他のDAWソフトでも対応する様になり、他社のコントローラーもこのMackie HUIのプロトコルを使用する事でハードからのリモート操作ができる。
では具体的になにが便利になるか。
例えば打ち込みする時に再生や停止、録音といったボタンをマウスでクリックする
これって結構面倒なんですよね。鍵盤に置いていた右手をまずマウス、またはキーボードに持っていかないといけません。
ですが仮に、鍵盤に再生とか停止、録音といったボタンがあればどうでしょうか?自然な流れで音を鳴らしながらリアルタイムで録音が可能です。
更に画面を見ずに鍵盤を叩く事に集中できると言うのは非常に魅力的だったりします。
他に出来る事を例にあげると
- 各トラックのボリューム、PANのコントロール
- オートメーションの書き込み
が挙げられます。
第三章:MIDIリモートの恩恵を受けてCUBASE12と非常に相性が良くなったMIDIコントローラーとは?
ここからがみんな知りたかったオススメです。単刀直入に申し上げると、それは『Novation LAUNCHKEY MKⅢ』です。
Novation LAUNCHKEYと言えば、有名なのは作曲ソフト『ableton Live』専用コントローラーというコンセプトを持って生まれました。
ですが専用と言っても他のDAWで使えないというわけではありません。ちゃんと鍵盤としては認識されます。コントロールも先ほど紹介したMackie HUIでリモートは可能です。
ただ冒頭でもお話した通り、Mackie HUIなんてものは初めてDTMをする方にとってはハードルが高すぎます。知らない事をさも知ってるかのようにみんなに説明して下さい。と言われるくらい無茶振りです。
ではなぜ筆者がこの鍵盤をオススメするか。その理由を説明します。
Novation LAUNCHKEY MKⅢをオススメする理由
- 豊富な鍵盤サイズ(ラインナップ)
- 鍵盤だけでなくドラムパッドも付いている。(反応も数々の製品の中で1番)
- トランスポートパネル、フェーダーコントロール付き
- お値段以上の豊富な機能性
順番に解説していきます。
1:豊富なサイズ(ラインナップ)
LAUNCHKEY MKⅢはなんと言っても鍵盤サイズが豊富です。miniサイズに加え、通常サイズが4種類、計5種類が販売されています。
- LAUNCHKEY mini MKⅢ
- LAUNCHKEY 25 MKⅢ
- LAUNCHKEY 37 MKⅢ
- LAUNCHKEY 49 MKⅢ
- LAUNCHKEY 61 MKⅢ
個人的に気に入っている点は唯一の通常サイズ、37鍵盤があることでしょうか。
実は37鍵盤の通常サイズは他のメーカーでは発売されていません。(もし他にある場合は教えてください)あるのはミニ鍵盤のみとなります。大抵49か61の鍵盤数、次いで25鍵盤があります。
これ、結構絶妙なサイズなんですよ。机に置きやすいですし、クラシックでもしない限りはこの鍵盤数で事足ります。あんまり鍵盤弾けないという人には嬉しいサイズ感ですね。
2:ドラムパッドも付いている
LAUNCHKEYにはableton liveでお馴染みの小さなドラムパッドが16付いています。
これ、体験した人は分かるのですが感度がものすごく高いです。適当に連打しても素早く反応してくれるのでイライラしません。
またドラムパッドだけでなく、固定されたスケールを鳴らすということも可能です。(初期設定はマイナーキー)
これだけでも機能としては十分に見えますが他にもまだまだあります。
3:トランスポートパネル、フェーダーコントロール付き
トランスポートパネルとは、再生、停止、録音と言った制作する上で欠かせない機能を含んだアイコンの総称の事を言います。
実はコントローラーとしての役割を持つMIDIキーボードは大抵これらの機能が標準搭載されていますので、特別Novationだけの機能と言うわけではありません。
ではなぜNovationのおすすめポイントに入れるのか?それは更に音楽を作る上で非常に便利な機能が付いているからです。
通常サイズのLAUNCHKEYには、先ほどお話した再生、停止、録音の他にも『ループ再生』、『クオンタイズ』、『undo(アンドゥ)』、『クリック』、『キャプチャMIDI』の機能を搭載してます。
ループ再生は特定の範囲内をループ再生させるための機能
クオンタイズは微妙にズレた音符のタイミングを揃える機能
undo(アンドゥ)は一つ前の編集状態に戻す機能
キャプチャMIDIは録音していない時に弾いたMIDIデータを呼び出しできる機能
ループ再生はなんとなく分かると思いますが後の3つは少しだけ難しいですね。順を追って説明していきます。
クオンタイズ
簡単に言うと音符をキチンとしたタイミングに揃える機能の事を指します。主にキーボードで録音後に使います。この他にも録音しながらに適切なタイミングに補正するオートクオンタイズというのもあります。
undo
undoは一つ前に戻ると言う意味です。対義語はredo(一つ後に進む)。使用例としては録音したデータが気に食わなかったから消して録り直しをしたり、間違えて削除した音符やトラックを復元したりするときに使います。
使用頻度は1番高く、最重要で覚えて欲しい機能になります。因みにパソコンのキーボード上ではctrl +Zキーで同様の操作が可能。
キャプチャMIDI
これはイマイチピンと来ない人も多いのではないかと思いますのでキチンと説明します。
これは、録音していない状態の時に弾いた鍵盤のフレーズをデータとして呼び出すための機能です。
例えば『さっき弾いてたフレーズすごく良かったけどどうやって弾いてたっけ?』これ、あるあるです。
そんなときにこのキャプチャMIDIを使うとそれまで弾いていたmidiデータを呼び出してくれると言うなんとも便利な機能なんです。
補足すると、キャプチャMIDIという言葉自体はableton live専用のものですが、CUBASEでも「非録音時の MIDI 入力データを記録 (Retrospective MIDI Record)」として存在します。
因みにこの呼出ボタン、なんとLAUNCHKEYにしかついていません。他社の場合は手動でカスタムしないと使えないんです。
このボタンがついていると言うだけでもいかにCUBASEと相性がいいか分かってもらえたかと思います。
※LAUNCHKEY MINIには再生とキャプチャMIDI以外のパネルはありません。
フェーダーコントロール
LAUNCHKEYの49、61の鍵盤には更にフェーダーコントロールがついています。
じゃあ他のサイズの物はボリュームのコントロールできないのか?
答えはNOです。
25鍵盤も37鍵盤も上のツマミでボリュームコントローラーに替える設定があるのでそこからコントロール可能です。
その他にも各トラックのPAN設定にしたりエフェクトをコントロールしたりも本体の設定次第で切り替えすることができます。
やり方は簡単です。
本体のshiftキーを押しながらドラムパッドの上8つのパッドいずれかを押す。
これだけです。
※miniの場合は液晶パネルがないですが、本体のパッド上にうっすらとvolumeとかpanと書かれています。
なので小さい鍵盤にしたからと言って機能は損なわれませんのでご安心ください。
4:お値段以上の豊富な機能性
最後にお伝えしたいのが、なんと言っても価格が割りとリーズナブルな点です。
LAUNCHKEY MINIは現在12,000円〜14,000円くらいの価格帯です。この価格帯だと競合するのはAKAI MPK MKⅢ辺りでしょうか。あちらの方がもう少しだけ安いのですが、これだけご紹介した機能だけでもかなり性能が高いです。
通常鍵盤のLAUNCHKEYシリーズでも最大の61鍵盤で33,000円〜35,000円と言う価格です。まだ紹介しきれてはいませんが、元々使える基本機能でも他社を圧倒するものばかりなのです。
例えば、Fixed Chordやアルペジエーター、USER Chord機能が代表的です。
因みにこれらの機能をここまで搭載しているキーボードは同価格帯では恐らく存在しません。有名なArturia Keylab Essentialでもアルペジエーターまでは機能として存在しません。Native InstrumentsのKOMPLETE KONTROLでも基本的には専用ソフトでしかコード打ち込み、アルペジエーターは機能しません。
Fixed Chord
Fixed Chordは『登録した和音で鍵盤を叩く』機能になります。
この機能のすごいところは10和音程度まで音を重ねることが可能なのと、適当にコードを登録してもルート音を変えればきちんと追従してくれると言う点でしょうか。
例えば、CM7で登録したとしてもルート音をDに変えれば自動的にDM7に変換してくれます。
同じような機能としてUser Chordがあります。こちらはドラムパッドにバンクとして自分の設定したコードを登録しておくことができます。
ただし注意点としては、先ほどの例で紹介したようにCM7でパッドに登録してもCM7以外の音を鳴らせないといった点でしょうか。その場合は他の空いているドラムパッドに違うコードを登録していきます。このパッドバンク機能があれば洋楽のようなコード進行が一定の楽曲に対しては非常に制作がしやすくなります。
アルペジエーター
アルペジエーターはアルペジオ(和音を一度に弾くのではなく、順番に構成音を弾く演奏)を自動でしてくれる機能です。
この機能のすごいところはハードウェア内で奏法を自在に切り替えできると言う点です。
例えば4部音符〜32部音符の切り替えや、最大4オクターブまでの和音を鳴らしたりリズムを変えたり、下から上に移動させるのかランダムにするか等様々です。元々は外部のシンセサイザーをコントロールするシーケンサーに近い役割があるため、Hold機能も備えています。
ただしこの機能のDTMでの使い勝手を考えるとあまり実用的ではなかったのですが、一応メインの機能なので紹介しておきます。
最後に
以上がCubase12でオススメしたいMIDIキーボードのお話でした。
因みにこのMIDI統合は恐らくElements以上の有料バージョンでのみ対応しているかと思われます。公式サイトでもAIの記載がありませんでした。
発売した当初から目を付けていたキーボードでしたが、筆者自身もっとCUBASEに対応してくれればいいのに、と半ば消化不良のような形でしたが、ここに来てついに完全対応が実現してくれて嬉しい限りです。